今週発表された調査では、クラウドで作業する中小企業の興味深い実態が描かれていますが、その実態は不確実性に満ちています。
「クラウド」、つまり多種多様なコンピューティングタスクのアウトソーシングは、ここ数年、テクノロジー業界のホットな話題となっています。大企業よりも俊敏性が高く、既存のレガシーアーキテクチャが少ない中小企業(SMB)にとって、クラウドはまさに理想的な選択肢であるとよく言われます。
しかし、中小企業にテクノロジー サービスを販売する Newtek Business Services が 1,800 人を対象に行った Web 調査によると、クラウドについて知っている中小企業は 3 分の 1 にも満たないそうです。
これが可能だというのは、非現実的に思えます。北米のどこの空港に行っても、クラウド時代を喧伝する大々的な広告を目にすることになりますし、マイクロソフトの「クラウドへ」というテレビ広告は至るところで流れています。

これは、クラウドとは何かを理解している中小企業があまりいないことを示唆しています。しかし、ニューテックの調査によると、クラウドコンピューティングという言葉を聞いたことがある人でも、その意味を理解していない人がほとんどです。クラウドコンピューティングの概念を知っている人でも、実際にその意味を説明できたのはわずか1人でした。
つまり、中小企業の 30% のうち約 4 分の 1、つまり約 7% が実際にクラウドを導入していることになります。
残念なことに、クラウド プロバイダーは、クラウドとは何か、そしてさらに重要なことに、なぜクラウドを気にする必要があるのかについて中小企業に十分な教育を行っていません。
それは定義そのものから始まります。「クラウド」が業界の流行語となったことで、ますます多くの企業がクラウドという用語で自社をブランディングしようとしています。WebサービスやSaaS(Software-as-a-Service)を提供する?それがクラウドです。アウトソーシングされたITインフラストラクチャ?それがクラウドです。ホスティングサービス?それがクラウドです。インターネットに接続されたアプリケーション?それがクラウドです。シンクライアントコンピュータやその他のインターネットに接続するエンドユーザーコンピューティングデバイス?それがクラウドです。
広告が絡むと状況はさらに悪化します。特に、Microsoftの「To the Cloud」という広告キャンペーンは状況を混乱させています。いくつか見てみると、クラウドがあれば空港で足止めされている間にインターネット経由でお気に入りのテレビ番組を見たり、加工した写真を友達と共有したりできる、というイメージが頭をよぎります。「やったー、クラウド!」
一方、多くのエンタープライズベンダーは、大規模顧客が大規模な社内プライベートクラウドを展開するために使用するインフラストラクチャに重点を置いています。あるいは、EMCの「プライベートクラウドへの旅は今始まる」キャンペーンのように、大まかなスローガンを掲げて、具体的な内容を明示しないベンダーもあります。
これら 2 つの極端な考え方の間には、中小企業に対する「クラウド」の意味、そしてさらに重要なことに、顧客にどのようなメリットをもたらすかについての真の教育が欠如しています。

中小企業は、クラウドへの移行方法に関する実践的なアドバイスだけでなく、クラウドを取り巻く潜在的な懸念事項に対する安心感も必要としています。例えば、今週サンフランシスコで開催されたCitrix Synergyイベントでは、CitrixのCTOであるSimon Crosby氏が、Amazon、Google、Microsoft、Skypeなどのクラウドサービスで発生した大規模な障害を受けて、クラウドのセキュリティと可用性に関する懸念に取り組みました。Crosby氏は、古くからある自動車と航空機の安全性に関する比喩を引用しました。飛行機事故は自動車事故よりもはるかに多くのニュースで取り上げられますが、統計的に言えば、飛行機で旅行する人は運転手よりもはるかに安全です。多くのオンプレミスアプリケーションが毎日経験しているダウンタイムと、パブリッククラウドの大規模な障害を比較した場合、同じ論理が当てはまります。
教育の必要性は、WebホストVerioのレポートによって強調されています。中小企業の意思決定者500名を対象とした調査では、3分の2が現時点でクラウド導入に踏み切るかどうか確信が持てないと回答しました。しかし、「適切な知識と教育」が提供されれば、20%が今後12ヶ月以内にクラウドソリューションを導入する可能性が高いと回答し、さらにその約半数が6ヶ月以内への移行を検討しています。
クラウド プレーヤーが、クラウド環境において中小企業に待ち受けているチャンスを実現したいのであれば、宣伝や専門用語を減らし、教育、指導、ガイダンスを強化する必要があります。
そうでなければ、中小企業はクラウドの中で迷子のままになってしまうかもしれません。
ロバート・ダットはベテランITジャーナリスト兼ブロガーです。ChannelBuzz.ca でカナダのITテクノロジーソリューションプロバイダーの動向を日々取材しています 。Twitterでも フォローできます 。