Microsoft の新しい Edge ブラウザ、Excel の自然言語クエリ、その他の Microsoft の近い将来のイノベーションとは対照的に、近いうちに 発表される予定のない興味深い発表の 1 つが、ガラス内にデータを保存する Project Silica です。
Microsoft Igniteにおいて、同社はワーナー・ブラザース映画スタジオの協力を得て、映画『 スーパーマン』をガラス板の中に保存する3次元記録システムを開発したことを披露しました。PCモニターに表示される画像ピクセルの3次元版である「ボクセル」を用いることで、マイクロソフトはProject Silicaのガラス板の中に映画のデジタル版を保存することに成功しました。厚さ2ミリメートルのガラス板に100層以上のボクセル層を保存することができます。

プロジェクトシリカガラスのクローズアップ。
2016年、マイクロソフトは、従来のディスクやフラッシュベースのストレージの生物学的な類似物として、DNA鎖を用いてデータを保存する方法を披露し始めました。ガラスストレージは、マイクロソフトがガラスを煮沸したり、スチールウールでこすったり、さらにはマイクロ波を当てたりしてテストしたにもかかわらず、データに劣化が見られなかったことから、より実用的と言えるでしょう。赤外線層は、従来のDVD記録媒体のようにガラスを歪ませますが、ガラス内部で、空気に触れずに行われます。マイクロソフトはProject Silicaに関するブログ記事で、データはレーザーを用いて読み取られ、ガラスからの反射光を機械学習で解読すると説明しています。
Microsoftの スーパーマンのデモが示すように、映画業界はこのようなストレージ技術に興味を持つ顧客の一つかもしれません。アナログフィルムは非常に壊れやすく、腐敗などの劣化を受けやすいことで知られています。初期の映画の多くは、オリジナルのネガが修復不可能なほど劣化したために完全に失われてしまいました。映画スタジオは複数のコピーを複数の場所に保管し、必要に応じてカラーデータを分離して再構築することさえありますが、これはコストと労力のかかる作業です。
マイクロソフトのデモは明らかにこのソリューションが理論段階を過ぎていることを示していますが、まだ実用化には至っていません。 この技術の内部情報を入手したVariety誌によると、マイクロソフトはまだデータの読み書きが可能な商用生産設備を保有していないとのことです。また、1立方ミリメートルあたりどれだけのデータを保存できるのか、実際にどれだけの期間保存できるのかなど、まだ公に答えられていない疑問もいくつかあります。
それでも、アーカイブデータは、ストレージ企業がひそかに解決に取り組んできた問題です。特に「ディスクの劣化」といった要因が、何年も前のCDやDVDを静かに蝕んでいる現状ではなおさらです。ハードドライブは永遠に回転し続けることができるのでしょうか?いいえ。コンテンツプロバイダーは、サーバーなどのストレージソリューションの継続的なメンテナンスと、12年に1、2回しかアクセスされない可能性のあるデータの保存コストのバランスを取らなければなりません。ガラスが解決策となるかもしれませんが、まだやるべきことは残っています。