クラウドコンピューティングのメリットを活用したいものの、機密情報をオフサイトに保管することに抵抗がある企業にとって、MicrosoftのWindows Azure Platformアプライアンスは新たな選択肢となります。Microsoftは、戦略的ハードウェアパートナーと提携し、企業が独自のクラウドを導入・管理できるアプライアンスベースのアプローチを開発しました。

クラウドコンピューティングは企業に様々なメリットをもたらします。中でも、拡張性、効率性、高可用性は特に重要です。従来のデータセンターは、需要への対応において俊敏性や柔軟性に欠けています。クラウドベースのデータセンターを利用することで、企業は必要に応じてサーバーの処理能力やストレージ容量を拡張できます。
しかし、多くの組織にとってのマイナス面は、トランザクションや通信の処理、あるいは機密データのサードパーティデータセンターへの保管に伴うセキュリティとコンプライアンスへの影響です。サードパーティサーバーに保存されたデータのプライバシーと所有権は、法執行機関や司法制度が依然として明確にすべきグレーゾーンにあります。SOX法(サーベンス・オクスリー法)、HIPAA法(医療保険の携行性と責任に関する法律)、PCI-DSS(クレジットカード業界データセキュリティ基準)などのコンプライアンスフレームワークも、クラウドにおけるデータの信頼性に関するガイドラインと要件を明確に定義する必要があります。
これらの懸念は、多くの企業にとってクラウド導入の障害となっています。マイクロソフトは、こうした懸念を払拭し、お客様が自社のサーバーやデータの管理権を放棄することなく、クラウドコンピューティングのメリットを最大限活用できるソリューションを提供したいと考えています。
Windows Azure Platform アプライアンスは、サーバー1台あたりのIT担当者数を削減し、電力と冷却にかかるコストを削減することで、運用コストを削減します。このアプライアンスは、数百台から数万台までのサーバーをオンデマンドで拡張できます。
IT 管理者にとってもう 1 つの重要な要素は、Windows Azure Platform アプライアンスが既存のデータ センター ツールおよび操作と統合され、安定性と高可用性を確保するように設計されたフォールト トレランス機能と自己修復機能を備えていることです。
Microsoft サーバー&ツール担当コーポレートバイスプレジデントのロバート・ワーベ氏は、公式 Microsoft ブログの投稿で次のように述べています。「このアプライアンスは、Microsoft で運用している Windows Azure プラットフォームと同じもので、Microsoft 指定のハードウェア上に Windows Azure と SQL Azure が搭載されています。サービスプロバイダー、政府機関、大企業は、このアプライアンスを使用することで、必要な制御を実現しながら、拡張性、マルチテナント性、運用コストの削減といったメリットを享受できるようになります。」
Windows Azure Platform アプライアンスのサイトでは、これを「高度に標準化され、事前構成されたハードウェア上で提供されるターンキー型のクラウドソリューション」と説明しています。これは、Microsoft が指定したリファレンス アーキテクチャに基づいて、ネットワーク、ストレージ、サーバー ハードウェアが事前に構成されたラックに数百台のサーバーが収容されているようなものです。
説明は次のように続きます。「Microsoft Windows Azure プラットフォーム アプライアンスは、1 台または数台のノードではなく、数百台のサーバーを必要とする点で一般的なサーバー アプライアンスとは異なります。また、拡張可能な設計になっているため、顧客はプラットフォームを拡張するニーズに応じて、サーバーを簡単に追加できます。」
Dell、eBay、富士通、HPは、クラウドサービスを提供するために、Windows Azure Platformアプライアンスを自社のデータセンターに導入することを決定しました。Microsoftによると、このアプライアンスは現在限定的に運用されており、まもなく一部の顧客とパートナーに提供される予定です。一般提供開始に関する詳細は現時点では不明です。
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