HPのCEO、マーク・ハード氏がセクハラ疑惑の調査を受けて辞任に追い込まれたことは、今や周知の事実です。しかしながら、HPはいわば自業自得と言えるほどの苦境に立たされたと言えるでしょう。ハード氏を解任した経緯を紐解くと、取締役会がハード氏を解任する口実を探していただけだったのではないかとの疑問が浮上します。

額面通りに見ると、ハード氏はHPの舵取りに成功したように見える。ハード氏のリーダーシップの下、HPはコスト削減と収益源の多様化を実現し、多方面で競争できる、スリムで強力なテクノロジー大手を築き上げた。
ハード氏のCEO在任期間中、HPはPC製造で世界トップ、ノートパソコン製造で世界第2位に躍進しました。EDS、3Com、Palmなど、様々な企業を買収し、ハードウェア販売への依存度を低下させながら、コンピュータコンサルティング・サービス、ネットワークインフラ、スマートフォンやタブレットなどのモバイルプラットフォームへと事業領域を拡大しました。
では、なぜ取締役会はハード氏を解任することに固執したのだろうか?CEOに関連するセクハラスキャンダルは広報上の悪夢となりかねないが、取締役会自身も認めているように「調査の結果、HPのセクハラに関する方針に違反はなかったことが判明した」。
しかし、調査の結果、HPのビジネス行動規範に違反していたことが明らかになりました。具体的には、ハード氏がジョディ・フィッシャー氏との個人的な関係を隠すために、不正確な経費報告書を提出していたという証拠が見つかりました。フィッシャー氏はかつて女優として活躍し、現在は契約社員としてセクハラ疑惑の中心人物となっています。
不正流用された経費の額は平均的な従業員にとっては天文学的な額に思えるが、ハード氏のHPからの収入と比較すると、不正確な経費報告書は、HPのコンサルタントが出張中に余分な食事代を経費として計上するのとほぼ同じである。
私は、それが許容できるとか、取締役会がそのような行為を容認すべきだと言っているわけではありませんが、世界最大のテクノロジー企業のCEOを解任する正当な理由とは到底思えません。もしかしたら、取締役会には何か隠された意図があるのかもしれません。
マーク・ハードは役目を終え、取締役会は彼を解任する正当な理由を探していただけだったのかもしれません。ハードの積極的なコスト削減と経営スタイルは、HPを軌道修正するために大いに役立ちましたが、HPの未来を担うのは新鮮な血を必要としていたのかもしれません。
動機が何であれ、HP取締役会が自らの行動を理解し、HPに不利益なことをしただけではないことを願うばかりです。ハード氏の後任がHPの将来にプラスの影響を与えるのか、マイナスの影響を与えるのかは、時が経てば分かるでしょう。