携帯電話の一部が熱すぎて扱えないときがあるという場合、富士通がその解決策を持っているかもしれません。それは、モバイル デバイスの周囲に熱を拡散し、極端な温度を下げることができる薄いヒート パイプです。
富士通研究所は、厚さ1mm未満のループ状のヒートパイプを開発しました。同社によると、このデバイスは約20Wの熱を輸送でき、これは既存の薄型ヒートパイプや放熱材の約5倍に相当します。
この技術は、CPUやその他の熱を発生する部品の冷却を助け、その熱を携帯電話の他の部分により均等に分散させることで、スマートフォンのパフォーマンスを向上させる可能性がある。
サムスンギャラクシースマートフォンの一部では過熱が問題となっており、韓国メーカーは過度の熱への懸念からクアルコムのスナップドラゴン810プロセッサをギャラクシーS6から外したようだ。

ヒートパイプはノートパソコンでは使用されているものの、スマートフォンでは一般的ではなく、代わりに金属シートやグラファイトシートが使用されています。富士通によると、このヒートパイプは薄型電子機器に使用できる厚さ1mm未満のヒートパイプとしては世界初とのことです。
このヒートパイプは、0.1mm厚の銅板を積み重ねたもので、水が毛細管現象によって循環する流路を備えているため、スマートフォンの向きに関わらず機能します。ヒートパイプの一部はCPUなどの熱源の上に配置され、水を蒸発させます。もう一方の熱拡散板は凝縮器として機能し、蒸気を液体に戻して蒸発部に戻します。
ヒートパイプはスマートフォンから熱を取り除くわけではありませんが、熱を拡散して最も熱い部分の温度を下げることで、特定の領域の過熱を制限する可能性があります。
「現在のスマートフォンでは、表面温度が数度低下すると予測していますが、これはスマートフォンの内部構造などさまざまな要因によって異なります」と富士通の広報担当者は電子メールで述べた。
ヒートパイプにより、温度上昇が予想される場合にスマートフォンのCPUが適用する自動制限の頻度も低減できると広報担当者は付け加えた。つまり、CPUがより頻繁に妨げられることなく動作できるようになるということだ。
富士通は、様々なモバイル機器の設計に合わせてカスタマイズ可能なこの技術を、2018年初頭までに実用化することを目指しています。また、通信、医療、ウェアラブル機器への応用も検討しています。また、来週カリフォルニアで開催される半導体熱計測・管理シンポジウム(SEMI-THERM)でこの研究成果を発表する予定です。