米国のバラク・オバマ大統領は、国の監視技術を検討するグループに実際の技術者を加えるべきだと、IT関連団体が主張している。
米国国家安全保障局(NSA)による大規模なデータ収集・監視プログラムの発覚を受けて8月に発足した大統領の情報通信技術検討グループ(IRG)は、5名のメンバーで構成され、うち4名は元政府関係者だ。しかし、ワシントンD.C.のシンクタンク、ニューアメリカ財団のオープンテクノロジー研究所所長、サーシャ・マインラス氏は、同委員会の「技術的専門知識は限られている」と述べている。
同委員会の活動範囲は未定義で、同グループが具体的に何を審査しているのかは不明だと、マインラス氏は月曜日に発表予定の同審査委員会に関するコメントの中で述べた。
「NSAによる監視活動の広範さと範囲に関する暴露は、テクノロジー企業、人権団体、そして私生活や仕事でデジタル通信に依存している何百万人もの市民を含む、米国内外の様々な関係者の間で深刻な懸念を引き起こしている」とマインラス氏は記した。「政権は、インターネットの慈悲深い管理者としての米国への信頼を再構築し、国際法の尊重と国内外における市民の自由と人権の保護へのコミットメントを再確認することが極めて重要だ。」
マインラス氏のコメントは、先週金曜日に47名の著名な技術者グループが提出した委員会に対する同様の批判に続くものである。同グループは提出したコメントの中で、「審査グループは職務を適切に遂行するために、有能な技術的助言を必要としている」と述べている。「技術者は、現代技術の進歩、その仕組み、可能性、インフラを通じたデータの流れ、そして現代技術がプライバシーとセキュリティにどのような影響を与える可能性があるのかを理解できる」

この書簡に署名したIT専門家の中には、民主主義技術センターおよび電子フロンティア財団の職員、Apacheウェブサーバー開発者のブライアン・ベーレンドルフ氏、プリンストン大学コンピュータサイエンス教授のエド・フェルトン氏、ジョンズホプキンス大学コンピュータセキュリティ教授のマシュー・グリーン氏、Mozillaシニアポリシーエンジニアのクリス・ライリー氏、暗号学者のブルース・シュナイアー氏、PGP作成者のフィル・ジマーマン氏などがいる。
ジェームズ・クラッパー国家情報長官を含むオバマ政権高官は、NSAの取り組みを繰り返し擁護し、監視プログラムは米国をテロから守るために必要だと主張してきた。大統領の調査委員会はクラッパー長官に報告している。
「米国を守るために外国の情報を収集するという合法的な任務の範囲内で、我々は利用可能なあらゆる情報手段を使って外国の敵対勢力の意図を理解し、彼らの計画を阻止し、罪のない米国人に危害を加えるのを阻止できる」とクラッパー長官は先週の声明で述べた。
NSAの声明に対する疑問
技術専門家グループは、米国外国情報監視裁判所において、NSAが「多重通信トランザクション」(一括送信されたメッセージ)と呼ばれるものから個々の電子メールやその他のインターネット通信を分離することが技術的に不可能であるという主張の一部に疑問を呈した。NSAは、この技術的不可能性を理由に、インターネット通信の一括収集を正当化してきた。
「技術者として、今回の事例における技術的ハードルを克服する合理的な解決策が存在しないとは考えにくい」とIT専門家グループは述べている。「裁判所がこうした主張を検証する方法がなく、また、裁判所に情報機関以外の独立した技術者やアドバイザーが提供されていないことは、深刻な問題である。」
47人の技術者からの書簡では、最近明らかになったNSAによる暗号化技術の回避の試みも批判され、暗号化技術の悪用プログラムは「技術者にとって衝撃的なニュース」であると述べた。
NSAの取り組みはインターネットのセキュリティを「根本的に損なう」と同団体は述べている。「NSAはこれらの弱点を突いて通信内容への排他的アクセスを獲得できると考えている」と同団体は記している。「現実には、バックドアや秘密アクセスの仕組みは脆弱であり、組織犯罪者、ハッカー、そして他国の軍隊や諜報機関によって悪用される可能性がある」