
Palm Preが今週、あるモバイル開発者の耳目を集めました。ある開発者が、自分のPreが情報を収集し、「自宅に電話」して位置情報や使用アプリケーションなどの詳細を報告していたのです。プライバシー侵害の兆候があれば、ユーザーから激しい反発が巻き起こるのはほぼ確実で、Palm Preの件も例外ではありません。問題は、このプライバシーの「侵害」はPreに限ったことではなく、今日の多くのテクノロジーにおいてほぼ標準的な動作手順となっていることです。
Palmは、この騒動に対し、ユーザーがPalmのEULA(エンドユーザー使用許諾契約)およびPalmのプライバシーポリシーに同意することで、Palmが問題の情報を収集することに同意したことを指摘し、反論しました。プライバシーポリシーには、次のように明記されています。
お客様が位置情報サービスを使用する場合、当社は、位置情報および関連サービスを提供し、お客様のデバイスエクスペリエンスを向上させるために、お客様の位置情報と使用状況データ(リアルタイムの地理情報と、おおよその位置を特定するために使用できる情報の両方を含む)を収集、送信、維持、処理、および使用します。
これはほんの一例です。Palmのプライバシーポリシー全体を通して、Palmが特定の状況下で情報を収集することを明確に説明する記述がいくつかあります。トラブルシューティングや診断を行う必要がある場合、そのデータは分析のためにPalmに送信されます。データをバックアップする場合、連絡先、カレンダー、その他のデータがPalmに送信されます。
つまり、Palmがユーザーを「スパイ」しているという不吉な発見は、実際には、あるユーザーがプライバシーポリシーを読んでいないまま同意したにもかかわらず、その内容が何だったのかを身をもって知ったというだけのことです。誰も誰かの頭に銃を突きつけてプライバシーポリシーの条項に同意するよう強制しているわけではありません。Palmは、ユーザーがこれらのサービスを無効化またはオプトアウトする手段も提供していると繰り返し述べています。
しかし、ここにはもっと大きな問題もあります。この反発は、Palmがユーザーの現在位置やモバイルデバイスの使用方法をいつでも特定できる可能性があることに、ユーザーが心から驚き、憤慨していることを示唆しています。どうやらユーザーはこれをプライバシーの重大な侵害と捉えているようです。しかし、これらのユーザーが気づいていないのは、こうしたデータが、彼らが関わるほぼすべてのやり取りや取引において常に収集されているということです。
プライバシーというより大きな問題は、シムソン・ガーフィンケル著『データベース・ネイション』やブルース・シュナイアー著『Beyond Fear』といった書籍で取り上げられています。車にガソリンを入れ、クレジットカードやデビットカードで支払うと、情報が提供されます。つまり、誰かがその時間にあなたがどこにいたかを正確に特定できるのです。ドリトスとコーラを1袋ずつ購入した場合も、その情報が収集されます。携帯電話で電話をかけると、その時点でどの携帯電話が接続されていたかという情報が保存され、おおよそその時点でのあなたの位置が特定されます。
Palm PreやApple iPhoneといったデバイス、そしてその他多くのモバイルデバイスでは、収集されるデータの種類と量ははるかに膨大になる可能性があります。車を見つけるのに役立つアプリは、点と点を繋ぎ合わせてユーザーを車に戻すために、何らかの方法で車両の位置とユーザーの現在位置を特定する必要があります。最寄りのATMを見つけるのに役立つアプリは、ユーザーの現在位置を特定し、既知のATMデータベースと照合して、最寄りのATMに誘導する必要があります。これは「プライバシーの侵害」ではなく、ユーザーの生活を楽にするツールやユーティリティと引き換えにユーザーが受け入れているトレードオフです。
テクノロジーの利用に関して、人々を怖がらせたり、FUD(恐怖、不確実性、疑念)を広めたりしようとしているわけではありません。むしろその逆です。私が言いたいのは、良いか悪いか、あるいはどちらでもないかに関わらず、プライバシーはほぼ過去のものになったということです。EULAとプライバシーポリシーに同意する前に、必ず読んでください。そして、データがどのように使用され、データへのアクセスを制御するためのオプションが何であるかを知っておくべきです。しかし、完全なプライバシーを実現する唯一の方法は、テクノロジーを完全に避け、ロッキー山脈のどこかの小屋でラッダイト的な生活を送ることです。
トニー・ブラッドリーは、10年以上のエンタープライズIT経験を持つ情報セキュリティとユニファイド・コミュニケーションの専門家です。 @PCSecurityNewsとしてツイートし、自身のサイトtonybradley.comでは、情報セキュリティとユニファイド・コミュニケーション技術に関するヒント、アドバイス、レビューを提供しています。