インテルは月曜日夜のCES基調講演で、量子コンピューティング用の49量子ビットチップの導入で最高潮に達した同社の巧妙に演出された新構想の展示と、メルトダウンとスペクターの脆弱性によってもたらされた厳しい現実を対比させた。
メルトダウンとスペクターは、ARMやインテルといった半導体企業に加え、OSベンダー、ブラウザメーカー、クラウドコンピューティング企業にも影響を与える業界全体の問題だが、問題の顔はインテルにある。最高経営責任者(CEO)のブライアン・クルザニッチ氏は、自身の知る限り、これらの脆弱性によるデータ損失は発生していないと改めて強調した。
クルザニッチ氏は聴衆に対し、インテルがメルトダウンとスペクターの脆弱性への対応に全力を尽くしていると明言した。「セキュリティはインテルと私たちの業界にとって最優先事項です」と彼は述べた。
インテルはこの問題を真剣に受け止めているようだ。 オレゴニアン紙は、インテルが自社製プロセッサのセキュリティを強化するために「インテル製品保証・セキュリティ」という新たなグループを結成したと報じている。このグループは、元財務部門ディレクターのレスリー・カルバートソン氏が率いる。また、インテルの副社長兼エンジニアリンググループゼネラルマネージャーであるスティーブ・スミス氏もメンバーに名を連ねる。スミス氏は先週、投資家に対しメルトダウンとスペクターの脆弱性について説明した人物である。偶然にも、スミス氏は24年前にインテルのFDIVバグについて記者に説明したペンティアム担当マネージャーでもあった。

インテルの最高経営責任者ブライアン・クルザニッチ氏が、ラスベガスで開催された2018 CESショーで講演した。
データがインテルを動かす
クルザニッチ氏は基調講演の残りの時間、インテルがスポーツイベントや映画の視聴体験を向上させる技術に投資してきた実績について繰り返し説明した。当然のことながら、インテルの目標は、最も多くのデータを必要とし、ひいては自社のチップへの需要を最も生み出すアプリケーションを開拓・活用することにある。スポーツや映画のアプリケーションでは、複数の高解像度カメラがイベントをリアルタイムで撮影し、「ボクセル」、つまり複数の角度から見ることができる3次元画像に変換する。クルザニッチ氏によると、この方法で録画されたNFLの試合は、1分間に3テラバイトのデータを生成するという。

データは今後もインテルの製品開発を推進していくだろうとクルザニッチ氏は語った。
インテルは近々事業を拡大する。韓国で開催される冬季オリンピックの30競技を、1ヶ月かけてライブとオンデマンドでVR配信する予定だという。また、インテル・スタジオと呼ばれる別のプロジェクトでは、巨大な円形に設置された100台のカメラを用いて、あらゆる角度から同時にシーンを撮影し、そのショットをボクセルベースで再現する。
インテルはPCチップについても依然として計画を続けています。日曜日にインテルは、ライバルと目されるAMDのセミカスタムRadeon Vegaを搭載したCoreチップであるKaby Lake-Gチップの詳細な説明を発表しました。クルザニッチ氏は基調講演でもう一つの新型チップを披露しました。それは驚異的なものです。量子コンピューティング用の49量子ビットチップです。
インテルは他のメーカーと同様に、量子コンピューティングの可能性を精力的に探求してきました。量子コンピューティングは、従来の1と0の2進法を捨て、重ね合わせ状態を用いて複数の値を表現できるものです。インテルをはじめとする企業は、これらの量子チップを用いることで、従来のシリコンマイクロプロセッサよりもはるかに複雑な問題を解決できると考えています。ただし、インテルとその競合他社は、これらのチップの継続的な改良に数十億ドルを投資してきました。クルザニッチ氏が例として挙げたチップの一つは、脳をシミュレートするように設計されたインテル製チップ「Loihi」です。
インテルの主なライバル企業の1つであるIBMは、50量子ビットのチップを開発し、CESに出展したと報じられている。
「この49量子ビットのチップは、私たちのシミュレーション能力をはるかに超え、量子コンピューターが世界最高のスーパーコンピューターをはるかに凌駕する量子超越性へと近づきます」とクルザニッチ氏は述べた。
「量子コンピューティングを前進させるために克服しなければならない重要な技術的課題を解決できると期待しています」とクルザニッチ氏は付け加えた。