
ニューメキシコ州ロスアラモスとその巨大な国立研究所といえば、おそらく原爆が開発された場所、そして現在も大規模で激しい山火事の脅威にさらされている場所としてしか知られていないでしょう。しかし、ここ数十年で、ロスアラモス国立研究所における科学研究の範囲は大きく広がりました。研究所敷地の境界で炎が燃え上がり、そこに保管されている放射性廃棄物の安全性への懸念が高まる今、少し立ち止まり、深呼吸をして、マンハッタン計画の時代から研究所の科学者たちが生み出してきた他の成果をいくつか振り返ってみるのも良い時期かもしれません。
エイズに対する潜在的なワクチン
ロスアラモス研究所の科学者たちは、HIVワクチン開発に取り組む大規模な国際チームの一員です。理論部門のベット・コーバー氏が率いる同研究所の研究チームは、ワクチンの遺伝子解析において主要な役割を果たしました。参加する科学者コンソーシアムは、2012年後半にもヒト臨床試験の準備が整うことを期待しています。
爆弾を嗅ぎ分けるミツバチ

同研究所の風変わりながらも実用的なプロジェクトの一つとして、研究者たちはパブロフの法則を用いてミツバチの優れた嗅覚を活用し、即席爆発装置(IED)に使用されるような爆発物を嗅ぎ分ける訓練法を開発しました。軍がこの方法をミツバチのみで構成された部隊で試験したかどうかは、まだ発表されていません。
グリーンエネルギー
ロスアラモス研究所は正式には連邦エネルギー省の管轄下にあり、そこで数多くのエネルギープロジェクトが実施されているのも当然のことです。再生可能エネルギーやいわゆる「グリーン」な取り組みも数多く含まれています。これまでに、同研究所はハイブリッドゴミ収集車、水素燃料電池を大幅に安価にする技術、そして将来的にはエネルギーも生み出す窓の実現も期待される太陽光集光素材を開発してきました。
がんの検査の改善
研究室の科学者、リアンジェ・ファン氏、ケネス・M・ハンソン氏らは、より安全で快適かつ正確な乳がん検査法の開発に取り組んできました。この検査法は、従来のマンモグラフィーでは見逃されがちな小さな腫瘍を音波を用いて検出します。
宇宙レーザー
ロスアラモスのようなハイテクな研究所は、少なくとも1つの本格的な宇宙レーザープロジェクトがなければ不完全だと思われるでしょう。ロスアラモスの科学者たちは、現在火星に向けて発射されているそのようなシステムの開発に携わりました。このレーザービームは火星探査車に搭載され、ピンの頭ほどの大きさの土や岩石を照射して蒸発させます。蒸発したサンプルから発せられる光の閃光を分析します。
空からの脅威の検知
研究所の科学者たちは、生物兵器や細菌兵器による攻撃の可能性に備えて、上空からの生物学的脅威を検知するASPECT航空機の開発にも貢献しました。しかし、この航空機の用途はそれだけではありません。ASPECT航空機は本日、ロスアラモス上空の煙の中を飛行する予定です。環境保護庁(EPA)は、この技術を用いて、山火事による大気中への放射線放出の可能性を検査する予定です。