AMDは火曜日、CES 2021でRyzen 5000モバイルプロセッサを正式に発表しました。デスクトップPCでの実績を継承し、強力なZen 3アーキテクチャを活かしてIntelのCore i9を凌駕し、最高のゲーミングCPUの座に就くことを期待しています。AMDが予想外に加えたメリットは、バッテリー駆動時間への新たな重点です。これにより、Ryzen搭載ノートPCの弱点が解消される可能性があります。
AMDの最高経営責任者(CEO)であるリサ・スー氏は、ラスベガスではなくバーチャルで開催されたCES 2021の基調講演で、モバイルチップの新ラインナップを発表しました。スー氏は新しいGPUについては発表しませんでしたが、RX6800や類似チップに搭載されているAMD RDNA 2 GPUアーキテクチャが、2021年前半に「主流」のデスクトップグラフィックカードと共にモバイルGPUに搭載されると述べました。スー氏は、 Dirt 5を1440p解像度、Ultra High設定で50fps以上で動作させるリファレンスノートPCを披露しました。
しかし、プロセッサが注目を集めました。AMDは、AMD Ryzen 5000 Mobileシリーズのプロセッサに13種類の新チップを発表しました。フラッグシッププロセッサのアップデート版5900HSと5980HSに加え、AMDが「世界最高のゲーマー向けプロセッサ」と自負する5900HXも追加されました。これらのハイエンド7nmプロセッサは、最大8コア16スレッド、ターボクロック速度は最大4.8GHzに達し、多くのモデルでキャッシュサイズが19MBから20MBに倍増し、全体的なパフォーマンスをさらに向上させています。これらの新しいRyzenプロセッサのほとんどは15、35、45ワットで設計されていますが、これらの新しいHXチップにより、ラップトップメーカーは45ワットを超える設計の選択肢を得ることができます。
肝心なのは、噂が(ほぼ)真実だったことです。AMDはRyzen 5000シリーズに、旧世代のZen 2アーキテクチャを採用したプロセッサを混在させていましたが、明確に区別していませんでした。2月に新しいRyzen Mobile 5000ファミリーが発売されるので、どのRyzenノートPCを購入するかは慎重に検討する必要があります。AMDは新チップのグラフィック性能についても公表していません。
「Ryzen 4000シリーズについては、多くの好意的な意見が寄せられています。様々な専門家が、Ryzen 4000シリーズをゲームチェンジャー、あるいはルールを塗り替える製品と評しています。私たちはそれを大変嬉しく思っています」と、AMDのテクニカルマーケティングディレクター、ロバート・ハロック氏は述べています。「しかし、5000シリーズはさらに優れています。本当に素晴らしい製品です。」
AMDの新しいプロセッサには、薄型軽量ノートPC向けのUシリーズ5機種と、ゲーミングノートPC向けのHシリーズ8機種が含まれています。AMDとIntelはともに、CESでゲーミングを重点的に取り上げており、ハイエンドチップの販売促進と、パンデミック中に急成長したゲーミング市場の盛り上がりを捉える狙いがあります。
AMDのRyzen 5000シリーズモバイルプロセッサをご紹介します。これらの新しいプロセッサはすべてAMDの7nm製造ラインで製造されており、同時マルチスレッド処理にも対応しています。

AMDのRyzen Mobile 5000ファミリー。AMDは発表後、Ryzen 5700Uのキャッシュサイズは12MB、Ryzen 5 5500Uのキャッシュサイズは11MBになると発表しました。
AMDのRyzen 4000 Mobileシリーズでは、スリムシステム向けのAMDパワープロセッサであるRyzen 4900HSが導入されました。AMDのRyzen 5000 Mobileプロセッサのラインナップは前モデルよりも充実しており、3つのRyzen 4000 HSチップも4つのRyzen 5000 HSチップに取って代わられました。

AMDは「HS」シリーズを「究極のポータブルゲーミングパフォーマンス」と謳っていますが、さらに優れた製品、HXシリーズが登場しました。果たして、究極の性能を超えることはできるのでしょうか?
どうやらできるようです。AMDによると、新しいRyzen 9 5900HX、そしてHXファミリー全体は「ゲーマー向け世界最高のモバイルプロセッサ」とのことです。Ryzen 9 5980HSのようなHSシリーズのチップは35Wですが、5900HXと5980HXは45W以上の定格となっています。ただし、どれくらい高いのかは不明です。AMDによると、HXシリーズのプロセッサはクロック周波数の調整も可能とのことで、愛好家は自由にクロック周波数を調整できます。
パワー:パフォーマンスと同じくらい、あるいはそれ以上に重要
パフォーマンスよりも消費電力に焦点を当てるのは奇妙に思えるかもしれませんが、AMDが新しいチップで実現したメリットは、クロック速度とキャッシュメモリの高速化だけではないかもしれません。Ryzen 5000 Mobileファミリーでは、AMDは「Collaborative Power Performance Control(CPPC)」と呼ばれる技術をモバイル領域に移行しました。これは、CPUクロックと電力制御をCPU自身のファームウェアに移行する技術です。元々、CPPC機能はAMDの「Zen 2」デスクトップチップの一部であり、 Ryzen 3000シリーズのパフォーマンスをわずかに向上させました。しかし、周波数は消費電力に影響を与えるため、CPPCはRyzenノートPCの電力消費により大きな影響を与えるはずです。
考えてみてください。この比較は1年以上前のもので、AMDの旧型Ryzen 7 3780UとIntel Core i7-1065G7を対決させたものですが、それ以外は同等のMicrosoft Surface Laptop 3同士の直接比較は特に説得力がありました。Intel CoreはパフォーマンスベンチマークでAMD Ryzenを約10%上回りましたが、バッテリー駆動時間ではRyzenを40%以上も圧倒しました。
それ以来、AMDはこれらのパフォーマンス不足を補い、さらにそれ以上の成果を上げてきました。しかし、テクニカルマーケティングディレクターのロバート・ハロック氏によると、CPPCによりRyzen Mobile 5000搭載ノートPCのバッテリー駆動時間が2時間延長され、通常使用で合計17.5時間、ビデオ再生で21時間の使用が可能になるとのこと。(これは、53ワット時バッテリーを搭載したRyzen 7 5800U搭載ノートPCで、1080pビデオを再生し、MobileMark 2018ベンチマークを使用した場合の数値です。画面の明るさは非公開です。)
「SOCにパフォーマンスを追加するのは簡単です。しかし、それと同時に優れたバッテリー駆動時間を実現するのははるかに困難です。しかし、Zen 3、7ナノメートル、そしてRyzen 5000シリーズでは、まさにそれを実現できたのです」とハロック氏は述べた。
Ryzen 5000 Mobile:驚異的なパフォーマンス
しかし、多くの人にとってパフォーマンスこそが重要です。AMDは、Ryzen 5000 MobileはIntelの最高峰に匹敵する、あるいは完全に凌駕する性能を持つと断言しました。(AMD自身の結果とIntel自身の数値を比較するには、月曜日にCESでIntelが発表したモバイル向け第11世代「Tiger Lake」のプレゼンテーションをご覧ください。)
まず、世代間スケーリングについてです。Ryzen Mobile 5300U、5500U、5700Uのシングルスレッドスコアに注目してください。次のセクションでは、これらについて詳しく説明します。

AMDはマルチスレッドスコアも提供しました。4800Uや5800Uといったプロセッサはコア数とスレッド数は同じですが、周波数の差が異なります。Ryzen 7 4800はベースクロック1.8GHz、ターボブースト4.2GHz、Ryzen 7 5800Uはベースクロック1.9GHz、ターボブースト4.4GHzです。

Ryzen 9 5980HS でさらに性能を上げてみても、その向上は目覚ましいものがあります。

AMDはまた、Ryzen 5000 Mobileが同社の4800UやCore i7-1165G7と競合できると強調しました。ここでの指標はPCMarkの生産性向上アプリですが、Microsoft Officeスイートの中でも特に負荷の高い2つのアプリであるExcelとPCMark 10では大幅なパフォーマンス向上が見られました。

しかし、ゲーミング分野ではAMDはIntelを倒すチャンスがあったものの、結局はそれを逃した。3DMark Fire Strike Physicsのスコアは確かに印象的だが、AMDは記者に提供した指標の中で、ゲームのベンチマークスコアを一切提供していなかった。

ゲームなしのゲームベンチマーク。
はい、Ryzen 5000モバイルプロセッサの一部はZen 2です
初期の噂では、新しいRyzen 5000 Mobileプロセッサの一部は、最新のZen 3ではなく、旧式の「Zen 2」コアを搭載するとされていました。AMDの「Lucienne」チップはAMDの旧式のZen 2アーキテクチャをベースに設計され、「Cezanne」はより強力なZen 3アーキテクチャをベースに設計されていると報じられています。これらの噂では、AMDのRyzen 5000 Mobileシリーズには両方が含まれており、両者を区別することなく記載されていました。実際、これらのリークはほぼ正確でした。

はい。Ryzen Mobile 5000チップの一部は、古いZen 2アーキテクチャを採用しています。これは問題になりますか?
AMDによると、新しいRyzen 5000モバイルプロセッサのうち3つ(Ryzen 7 5000U、Ryzen 5 5500U、Ryzen 3 5300U)はZen 2マイクロアーキテクチャを採用しています。残念ながら、これらのプロセッサには、同ファミリーの他のプロセッサと区別するためのマークや頭字語はありません。しかし、上記のベンチマークが示すように、Ryzen Mobile 5000シリーズの「Zen 2」モデルでさえ、前世代のRyzen Mobile 4000よりもわずかに高速です。もし混乱を避けたいのであれば、答えは簡単です。新しいRyzen 5000 Hシリーズプロセッサのいずれかを購入すればいいのです。
AMDにとって重要なのは、販売するプロセッサの数です。同社は、過去2世代での設計実績を基に、この点で既に成功を収めている可能性があります。AMDは、Ryzen Mobile 5000ファミリーを搭載したモバイルPCは150機種になると発表しました。これは、前世代の100機種から大幅に増加しています。結局のところ、これらの数字は、AMDがPC顧客の目に最先端プロセッササプライヤーとしての地位を確立したことを示しています。
説明: 新しい Ryzen 5000 モバイル プロセッサをすべてリストしたキャプションを更新し、AMD が公開後に含めた公開キャッシュ サイズの変更について説明しました。