クラウドと30日間:25日目

「30日間クラウドを使う」という実験を通して、クラウドベースのサービスを使うこと、あるいはクラウドにデータを保存することのメリットとデメリットを探ってきました。クラウドを利用することが本当に良いアイデアなのかを見極めることが目標でした。しかし、現実にはクラウドは必ずしも必要ではないかもしれません。
モビリティのトレンドはクラウドの需要を押し上げ、場合によってはクラウドサービスがある程度必須になりつつあります。このシリーズのこれまでの記事で何度も実感してきたように、クラウドから生産性ツールやデータにアクセスできることには大きなメリットがあります。つまり、インターネットに接続できるほぼあらゆるデバイスを使って、事実上どこからでも生産性を維持できるのです。
しかし、最先端のテクノロジーの登場により、クラウドは利便性から必須要件へと変化しています。スマートフォン、タブレット、ウルトラブックは、標準的なハードドライブよりも大幅に容量の小さいフラッシュストレージを搭載しています。古いノートパソコンなら500GB、あるいは1テラバイトものデータを保存できるかもしれませんが、スマートフォンやタブレットの容量は一般的に32GBまたは64GBに制限されており、ウルトラブックの最上位機種のSSDストレージでさえ、通常は256GBが上限です。
128GBのノートパソコンのSSDには70GBの音楽を保存する余裕がないこと、そしてWord文書やPowerPointプレゼンテーションで128GBはあっという間にいっぱいになってしまうことにすぐに気づきました。つまり、使える容量が128GBしかないので、ノートパソコンに保存するファイルをより厳選する必要があるということです。
でも、クラウドは使えるんです。データファイルはBox.comに保存しています。インターネットに接続できる場所ならどこからでもアクセスできますし、ノートパソコンの貴重なストレージ容量を圧迫することもありません。音楽フォルダは外付けUSBドライブに移しましたが、持ち歩きたくないんです。せっかく薄型ノートパソコンを使うのに、そんなの無理なんです。ありがたいことに、私の音楽はすべてiCloud経由でアクセスできます。
iPad 2を購入したとき、なぜか64GBのWi-Fiモデルを選びました。Wi-Fiネットワークが利用できない場所で接続する必要がある場合は、iPhoneからテザリング接続していました。しかし、問題は、16GBモデルの4倍の容量があるにもかかわらず、iPad 2にすべての音楽をローカル保存できないことです。
新しいiPadでは、16GBの4Gモデルを選びました。4Gを選んだのは、iPhoneの3G回線でテザリング接続するよりも、iPad本体で超高速のモバイルデータ通信を利用したかったからです。16GBモデルを選んだ理由は、音楽はすべてiCloudに保存し、ファイルやデータはすべてBoxに保存しているので、これ以上のストレージ容量は必要ないと判断したからです。
オフィスでデスクトップPCを使っているだけなら、クラウドを使うかどうかは自分で決められます。大容量ハードドライブを搭載した標準的なノートパソコンを使っていたら、クラウドを使うのが自分にとって合理的かどうかを自分で判断できたでしょう。しかし、16GBのiPhone 4S、16GBのiPad、そして128GBのSSDを搭載したMacBook Airを使っていると、ローカルストレージの容量は貴重になり、クラウドへの依存は便利な選択肢というより、事実上必須になります。
最後の「30日間」シリーズを読む: Windows Phone 7を30日間体験
24日目: クラウドのバックアップ
26日目: 雲が多すぎると良くないことがある